さて、ここからはコツといったもののお話になります。
いわゆる囲みの撮影では、思いどうりの
写真を撮るのは難しい。
でも、まったく作品にならない、といった事もないでしょう。
やはりコツがあります。
まず、
モデルさんを何処に立たせるのか。
これを最初に決めるわけですが、ここにはじっくりと時間を掛けたほうが良いでしょう。
良い光があるのなら、無条件にそこを選びます。
とはいっても、
モデルさんを何処に立たせるのかは主催者や指導の先生が決めたりしますね。
では
カメラマンは何処をどう工夫すればよいのか。
背景を選ぶんです。 つまり、背景は暗く落とすのか、ぼかした時に美しくなる背景を選ぶのか、色彩的に使える場所を選ぶのか。
あるいは状況の説明に使える背景を選ぶのか。
モデルさんの周りをぐるりと一周して、どの位置から撮るとどんな背景になるのかを観察します。
そうして自分が立つ位置を決めます。
「
写真は引き算」といった言葉を聴きますが、
ポートレートにもそれはあてはまります。
1cm、2cmとカメラを動かしながら、出来るだけ余計なものを排除できる撮影ポジションを探し出します。
「この位置から撮ると、背景は暗くなる。」
「したがって
モデルさんは、まるでスポットライトを当てたように浮かび上がる。」
「新緑の葉が光っている。 この光をボカすと点光源になって画面にアクセントを創ることが出来る。」
「このとき一番ふさわしいレンズは何か、また、絞りはいくつにするか」
そんな事を計算に入れて背景を選ぶわけです。
良く
カメラマンから
「目線をください!」と声がかかりますね。
慣れた
モデルさんなら順番に目線を回してくれるものです。
「あの
モデルさんは声をかけても目線をくれない」などと思わずに、撮影に集中しましょう。
そもそもファインダーを覗いたままで声をかけても、誰に呼ばれたのかモデルさんには解らないこともあるんです。
いちいちモデルさんが応えていたら、目線があっちに行ったりこっちに行ったりで落ちつきません。
手で合図するだけでも、モデルさんにはちゃんと伝わりますから。
そして、
ポージングの指示は具体的に伝えなくてはなりません。
「もっと、こうして」
などと言っても、モデルさんには伝わりにくいものです。
わかり辛い指示は混乱を招くだけ。
不慣れなモデルさんは、動きがぎこちないのも当然ですから、根気良く指示を出してあげて欲しいものです。
この指示の出し方の上手い下手で、モデルさんが持つ
カメラマンに対する印象は大きく変わってしまいます。
的確な指示でよいポーズがとれた時、今まさに素晴らしい
写真が出来上がろうとしている瞬間は、モデルさんにも伝わるものなのです。
そうしたポージングへと導いてくれるカメラマンは、モデルさんからも信頼されることでしょう。 さて、
撮影会に参加する人のなかには、大きな荷物を持ってくる人もいますね。
ほとんどの人がデジカメですから、フィルムを持って歩く必要はないはずです。
しかも
ズームを使っている人が多いのだから、
どうしてそんなに荷物がたくさんいるのだろうと、不思議に思ってしまいます。
私はウエストバックにレンズを2本とフィルム。
レンズを付けたカメラは1、2台を首から下げれば両手が空きます。
撮影会では身軽が一番。
大人数の
撮影会では「この場所ではよいものが撮れないな」と判断したら、すぐに主催者や指導の先生を観察したものです。
つまり、次の撮影場所を予測していち早く移動するわけ。
そして、その場所にぴったりのレンズに交換して、自分の撮影ポジションを確保しておきます。
他の
カメラマンがカメラをバックに納め、フウフウ言いながら歩いてきて、またバックからカメラを取り出しレンズを交換している間に、こちらはモデルさんに好きなポーズを注文してすでに撮り終わっている。
もっぱらそんな事を繰り返して撮影していたもんです。
実はこうしたところで、大きな差が出来てしまうことを知っている人は少ない。
フットワークの良し悪しは、とても大事なんです。
持ち歩くのはレンズが3~4本。
すべて単焦点ですから、軽くて小さい。
レンズフードを付けていても、ウエストバックに入ってしまいます。
ズームだとそうは行きませんね。
明るい望遠
ズームだとカメラバックにしか収まらないでしょう。
ズームは便利なレンズですが、
ポートレートには最適かというと、はたしてどうでしょう。
大きく、重くて暗い
ズーム。
ズームにしか撮れないポートレート写真は、はたして存在するのか? 私には明るい単焦点のほうがずっと価値がある。
カメラ2台に35mmと85mmのレンズをそれぞれ付けておく。
その場で使い分ける。
中間の焦点域は自分が動けば事足りる。 これでF1.4の標準ズームの出来上がり。
85mmと180mmならF1.4~F2.8の望遠ズームに早変わり。
後は広角の小さいレンズをポケットに入れておけば、不自由することはない。
それぞれカラーとモノクロを入れて使い分けるといったことも可能だ。
撮影会の形態も、以前に比べると少しづつ変わって来ました。
カメラマンもフィルムカメラからデジカメへと。
万人が望むような
写真が撮れる
撮影会はあり得ませんが、工夫次第で自分なりの
写真を撮ることは可能です。
あまり難しいことは考えずに、結果を気にする事無く楽しく進めることが大事ですね。
そして、本当に撮りたい写真があるのなら、個撮でその機会を作れば良い。
そうした時のために、
撮影会での撮影は役に立つと思います。
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